日本代表がブラジル代表に1-2で敗れ、田中碧選手への厳しい声が出ています。
終盤のボールロストが決勝点につながったことで、「戦犯」という強い言葉まで見られました。
ただ、この敗戦を田中碧選手ひとりの責任で片付けるのは違うのではないでしょうか。
田中碧の戦犯扱いは違う?
田中碧選手のプレーが失点につながったことは事実です。
1-1で迎えた後半アディショナルタイム。
ペナルティーエリア付近で田中選手がボールを失った流れから、最後はマルティネリ選手に勝ち越しゴールを決められました。
あの場面だけを切り取れば、田中選手に厳しい声が向かうのもわからなくはありません。
ただ、田中選手自身もその責任から逃げていたわけではありません。
試合終了後、田中選手はピッチに仰向けに倒れ込み、号泣していました。
しばらく動くことができず、ブラジルのマテウス・クニャ選手に声をかけられても、涙は止まりませんでした。
あの姿を見れば、本人がどれほど重く受け止めていたのかは十分に伝わってきます。
敗戦直後は取材に応じることもできず、スタッフに付き添われるように会場を後にしています。
一夜明けた取材では、「悔しい」「申し訳ない」という思いを口にし、自分の力がまだまだ足りなかったとも語っていました。
さらに、「自分のせいじゃない」と言われても嬉しいわけではなく、自分に腹が立つし責任を感じているという趣旨の言葉も残しています。
ここまで重く受け止めている選手に対して、外側から「戦犯」と切り捨てるのは違うはずです。
もちろん、あの場面は悔やまれます。
本人もそれを痛いほどわかっている。
それでも、サッカーはひとつのプレーだけで勝敗が決まるように見えて、そこに至るまでの流れがあります。
ブラジル戦の日本は、後半に入ってから少しずつ苦しい展開に追い込まれていました。
田中選手のプレーは目立つ場面で起きたものの、そこまでの流れを抜きにして語ることはできません。
日本代表のブラジル戦敗因は何だったのか
ブラジル戦の敗因は、田中碧選手の終盤のプレーだけではありません。
大きかったのは、後半からブラジルが攻め方を変えてきたことです。
後半からブラジルはクロスを増やしてきた
日本は前半、かなり集中した試合運びを見せていました。
前半29分には佐野海舟選手が先制点を決め、日本がブラジルを追い込む展開になります。
前半の日本は、中央を締めながらブラジルの攻撃をよく抑えていました。
ブラジルに自由な形を作らせず、前からの守備も効いていた。
ただ、後半に入るとブラジルは攻め方を変えてきます。
中央を無理にこじ開けるだけではなく、サイドからクロスを入れ、ゴール前で勝負する形を増やしてきました。
その流れから後半56分、ガブリエウ・マガリャンイス選手のクロスにカゼミーロ選手が合わせ、同点ゴールが生まれます。
日本としては、前半のように中央を締めながら守りたかったところ。
しかし、ブラジルはサイドから揺さぶり、クロスでボックス内に人数をかける形へ切り替えてきました。
ここにアンチェロッティ監督の修正力が出ていたように見えます。
クロス対応で日本は後手に回った
後半の日本は、ただ押し込まれたというより、ブラジルの攻撃の形を変えられたことで対応が難しくなっていました。
サイドからクロスを入れられると、守備側はゴール前で相手と競り合う場面が増えます。
クリアしてもセカンドボールを拾われれば、また攻撃をやり直される。
この繰り返しになると、守備陣も中盤も休む時間がありません。
前半は中央を締めることで耐えられていた日本でしたが、後半はサイドからボールを入れられ、ボックス内で勝負される場面が増えていきました。
ブラジルが日本の守り方を見て、別の崩し方に切り替えてきた。
そこに対応しきれなかったことが、試合の流れを変えた大きなポイントでした。
1点を守り切るには相手が強すぎた
日本は先制したことで、どうしても「この1点を守りたい」という意識が強くなったように見えました。
相手はブラジルです。
リードしている状況で慎重になるのは当然でしょう。
ただ、守る時間が長くなればなるほど、ブラジルに攻撃をやり直される回数も増えていきます。
強豪国の本気の攻撃を、1点だけで最後まで耐え切るのは簡単ではありません。
先制したあとに追加点を狙う形を作れなかった。
同点にされたあとも、もう一度前線を押し上げられなかった。
ここは日本にとって大きな課題だったように思います。
田中選手のプレーは最後の場面として目立ちました。
ただ、それ以前から日本は少しずつ苦しくなっていました。
1点を守る展開に入り、攻撃の時間を作れず、ブラジルに何度もクロスを入れられる。
この流れを抜きにして、最後のワンプレーだけを敗因にするのは無理があります。
日本らしいつなぐサッカーも出せなかった
ブラジル戦で気になったのは、日本の特徴でもある「つなぐサッカー」が後半にあまり出せなかったことです。
日本は本来、後方から丁寧につなぎ、相手のプレスを外しながら前進する形を大事にしてきました。
しかしブラジル戦の後半は、その形をなかなか出せませんでした。
ブラジルの寄せは速く、ボールを持った瞬間にプレッシャーが来る。
日本の選手が前を向く前に、次の選択肢を消される場面もありました。
その影響もあり、日本はロングボールを選ぶ場面が増えていきます。
もちろん、ブラジルの圧を考えればロングボールで逃げる判断自体は悪いわけではありません。
上田綺世選手が前線で競り、ボールを収めようとする場面もありました。
ただ、そこで次に受ける選手が近くにいない。
周りの選手も守備対応に追われ、押し上げる余裕がなかったように見えました。
上田選手がなんとか起点を作っても、そこから2本目、3本目のパスにつながらない。
結果として、ブラジルにすぐ回収され、またサイドから攻撃を作られる。
この繰り返しになってしまいました。
ロングボール自体が悪かったわけではありません。
問題は、その後に日本の攻撃としてつながらなかったことです。
ボールを保持して落ち着かせる時間を作れなかったことで、守備陣も中盤も休む時間がなくなっていきます。
田中碧選手のプレーは、そうした苦しい流れの中で起きた最後の象徴的な場面だったのかもしれません。
田中碧のミスがなければ延長でも勝てたのか
田中碧選手のボールロストがなければ、試合は延長に入っていた可能性があります。
だからこそ、あの場面が悔やまれるのは当然です。
ただ、延長に入っていれば日本が勝てたのかといえば、かなり難しかったのではないでしょうか。
後半の流れを見る限り、日本が急に主導権を取り戻せたとは言い切れません。
ブラジルは後半からクロスを増やす形に変え、日本はゴール前で対応する時間が増えていました。
さらにブラジルには、途中出場で流れを変えられる選手も残っていました。
実際、決勝点を決めたのは途中出場のマルティネリ選手です。
日本も粘っていました。
ただ、あの流れのまま延長に入っていたとしても、勝ち切るには相当厳しかったはずです。
SNSでも「あのまま延長に入っても厳しかったのでは」という声は多く見られました。
田中選手のミスがなければ勝てた、というほど単純な試合ではなかったと思います。
世間の反応は田中碧を責める声だけではない
試合後、SNSでは田中碧選手への批判が一部で広がりました。
ボールロストから失点した場面が大きく切り取られ、「戦犯」という強い言葉も出ています。
ただ、実際の反応を見ると、田中選手だけを責める声ばかりではありません。
むしろ、試合全体の流れを見た上で「田中碧だけのせいではない」とする声も多く見られました。
田中碧だけの責任ではないという声
SNSでは、田中選手本人は責任を感じているだろうけれど、1点を取った後に追加点を狙えなかったことや、同点にされても前線を押し上げられなかったことが大きいという声がありました。
強国の本気の攻撃を1点だけで最後まで守り抜くのは難しい。
田中選手だけのせいにするのは違う。
こうした反応はかなり共感を集めていました。
実際、後半の日本はクロス対応に追われる時間が増え、ボールを持っても落ち着かせる時間を作れませんでした。
その流れを考えれば、最後のミスだけを敗因として切り取るのは無理があります。
ブラジルの戦術変更を評価する声
ブラジルが後半からクロスを増やしてきたことに注目する声もありました。
前半は日本が中央を締めて対応できていた。
しかし後半はブラジルがサイドからボールを入れる形に変え、日本の守備を揺さぶってきた。
この修正がかなり効いていたという見方です。
田中選手のプレーが目立った一方で、後半の日本はブラジルの戦術変更に苦しんでいました。
アンチェロッティ監督の采配が素晴らしかった。
ブラジルが強かった。
そう見る声も少なくありません。
先制後の戦い方を指摘する声
日本が先制したことで、守り切ろうとする意識が強くなりすぎたのではないかという声もありました。
1点を取った後に追加点を狙う形が作れなかった。
ブラジル相手に1点だけを守り切るのは難しい。
この見方はかなり自然です。
先制したことで日本に希望が見えた一方で、チーム全体の重心は少しずつ下がっていきました。
ブラジルにボールを持たれる時間が増え、日本は耐える展開に入ってしまった。
結果的に、その時間の長さが終盤の苦しさにつながっていったように見えます。
つなぐサッカーができなかったという声
日本らしいつなぐサッカーが出せなかったことを指摘する声もありました。
ブラジルの圧が強かったとはいえ、ロングボールが増え、上田綺世選手が競っても次につながる形を作れなかった。
日本がもう少しボールを保持できていれば、守備の時間を減らせたかもしれません。
試合を落ち着かせる時間を作れなかったことは、敗因のひとつだったと思います。
これは田中選手個人だけの問題ではありません。
チーム全体として、ブラジルの圧を外し、自分たちの時間を作る力が足りなかったということです。
誰かを責める試合ではないという声
「誰ひとり恥じるべき選手はいない」
「責められるべき選手もいない」
「胸を張って次へ進んでほしい」
こうした声も見られました。
結果は悔しいものです。
ただ、日本はブラジル相手に先制し、最後の最後まで勝負をわからなくしました。
勝てなかった悔しさは残る。
でも、選手たちが戦っていなかったわけではありません。
むしろ、あと一歩のところまで行ったからこそ、余計に悔しい試合でした。
延長に入っても厳しかったという声
田中選手のミスがなければ延長だった。
この見方はあります。
ただ一方で、SNSでは「あのまま延長に入っても厳しかったのでは」という反応も目立ちました。
後半の日本は守備対応に追われ、ブラジルはまだ余力を残しているようにも見えました。
日本がここまでやれたこと自体がすごい。
ノーチャンスではなかったけれど、延長でもかなり厳しかった。
こうした声は、試合の流れを見ていた人ほど出ていた印象です。
ブラジルの強さとアンチェロッティ監督の采配も大きかった
日本の敗因を考える上で、ブラジルの強さも外せません。
ブラジルは前半こそ日本に苦しめられましたが、後半から明確に修正してきました。
中央をこじ開けるだけではなく、サイドからクロスを入れる。
ボックス内に人数をかける。
日本のつなぎを封じ、ロングボールを選ばせる。
そして最後はマルティネリ選手が決め切った。
これは偶然ではなく、後半に試合を動かしたブラジル側の力でもあります。
アンチェロッティ監督の采配。
選手層の厚さ。
勝負どころでの個の力。
そこが日本を上回った試合でした。
日本が何もできなかったわけではありません。
ただ、先制したあとに試合を終わらせる力、苦しい時間帯に自分たちのペースへ戻す力では、ブラジルが一枚上だったように見えます。
日本の敗戦は悔しい。
でも、ブラジルが素晴らしかったことも間違いありません。
まとめ
ブラジル戦は、田中碧選手の終盤のプレーだけで語れる試合ではありません。
もちろん、失点につながった場面は大きく取り上げられました。
ただ、その前から日本はブラジルの戦術変更に苦しみ、自分たちの時間を作れない展開が続いていました。
- 田中碧選手は試合後に号泣し、一夜明けても強く責任を感じていた
- 終盤のボールロストが失点につながったことで厳しい声も出た
- 後半からブラジルはサイドからクロスを増やす形に変えてきた
- 日本はその戦術変更への対応に苦しんだ
- 先制後に追加点を狙う形を作れず、1点を守る展開になった
- ロングボールで上田綺世選手が競っても、次の攻撃につながりにくかった
- 延長に入っても日本が勝ち切れたかはかなり難しかった
- SNSでも田中選手だけを責めるのは違うという声が多く見られた
- ブラジルの修正力とアンチェロッティ監督の采配も大きかった
悔しい敗戦でした。
田中碧選手が涙を流し、責任を背負おうとしていた姿は、多くの人の記憶に残ったはずです。
それでも、この試合は誰かひとりを責めて終わるような試合ではありません。
日本はブラジルをあと一歩のところまで追い詰めました。
足りなかったのは、終盤にもう一度自分たちの時間を作る力。
そして、ブラジルが後半から変えてきたクロス主体の攻撃に、試合中でもう一段対応する力だったのかもしれません。

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